
結論:新しいスキルを学ぶ前に、今ある経験を言語化することが先です。自分では当たり前と思っていることが、他者には十分な価値になっていることがあります。まず持っているものを言葉にしてから、足りないものを考えましょう。
キャリアや事業を伸ばそうとすると、新しいスキルや資格を学ぶことに目が向きます。もちろん学びは大切です。ただ、その前にやっておきたいことがあります。今までの経験を言葉にして、何ができるのかを明確にすることです。
多くの人が「もっと専門性がなければ」「スキルが足りない」と感じて新しい学びを始めますが、すでに持っている経験が十分に言語化されていないまま積み上げても、伝わらないままです。まず今持っているものを言葉にすることが、次の一手を決める土台になります。
新しい武器を探す前に、すでに持っている武器を見つけることが大切です。
経験は言語化されないと伝わらない
会社員として積んできた経験、現場で身につけたコツ、調整や段取りの力、資料を分かりやすく作る習慣。これらは「当たり前にやってきたこと」として自分の中では価値が見えにくいです。ただ、それらを必要としている人から見れば、十分な価値があります。
問題は、その価値が言葉になっていないことです。履歴書に「営業5年」と書いても、具体的に何ができるのかは伝わりません。「どんな状況の顧客に、どんなアプローチで、どんな結果を出してきたか」まで言葉にして初めて、相手は依頼するかどうかを判断できます。
成果の数字より役割を見る
経験を振り返る時に、多くの人は「大きな数字」がないと語れないと感じます。「売上〇%アップ」「新規〇件獲得」。こうした数字があれば使えばよいですが、数字がなくても伝えられることはあります。
関係者の認識がバラバラだった会議をまとめた。分かりにくかった資料を誰でも読める形に直した。問い合わせ対応のばらつきをひな型化して安定させた。こうした「役割」は、数字では見えにくいですが、価値としては十分です。何をしたかより、誰の何を楽にしたかという視点で振り返ることで、語れることが見つかります。
経験の言語化がプロフィールを変える
自分の経験を言語化できると、プロフィールやサービス説明が書きやすくなります。肩書きや資格の羅列ではなく、「こんな問題を解決できる人です」と書けるようになります。その変化が、見た人の「この人に頼んでみようかな」という感覚につながります。
プロフィールを書く時によく起きる「書けない」の正体は、経験を言葉にする練習が足りないことです。伝える内容がないのではなく、言葉に変えるトレーニングが不足している状態です。そのトレーニングが、経験の言語化です。
言語化のやり方
実際に試せるやり方は、過去にやってきた仕事の中で「感謝された場面」「うまくいった場面」「また頼まれた場面」を書き出すことです。感謝や依頼の繰り返しがある場面には、必ず誰かの役に立った価値があります。
その場面を「誰が困っていて、何をして、どうなったか」という形で書いてみます。最初は長くていいです。書いた後で、一番大切な部分を一文に絞ります。その一文が、プロフィールや自己紹介で使える素材になります。
一度に全部できなくて構いません。一つずつ書き足していくことで、少しずつ言葉のストックが増えます。ストックが増えると、相手や場面に合わせて使い分けられるようになります。
経験を組み合わせて独自性を作る
一つの経験で勝負するより、複数の経験を組み合わせることで独自の立ち位置が生まれることがあります。営業経験とウェブ知識を持つ人、人事経験とコーチングスキルを持つ人、現場経験と資料作成力を持つ人。それぞれは別々には珍しくないですが、組み合わさることで希少な存在になります。
自分の経験を書き出してみると、一見バラバラに見えた経験が「この組み合わせが自分の強みだ」と気づく人は多いです。新しいものを足す前に、持っているものを並べてみてください。
言語化が苦手な人の共通点
経験を言葉にすることが苦手な人には、共通したパターンがあります。「大したことをしていない」という前提で考えてしまうことです。その前提があると、書き始める前から「伝えるほどのことはない」と止まります。
しかし、その判断は自分の主観でしかありません。相手の状況や知識レベルによって、「普通のこと」の基準は全く違います。10年続けてきた現場の感覚は、その業界を知らない人には貴重な情報です。自分が普通だと感じていることを、外から見た視点で評価してみることが必要です。
書いた言葉をフィードバックしてもらう
自分で書いた経験の言語化を、信頼できる人に読んでもらうことも有効です。「これ、分かりやすく伝わりますか」「この仕事が誰の役に立つか、どう見えますか」という問いを投げると、自分では気づかなかった視点が返ってきます。
特に、違う業界の人や、自分のサービスを使いそうな人に読んでもらうと、専門用語が多すぎないか、意味が伝わるかが確認できます。一人で完結させずに、外部の目を借りることで言語化の精度が上がります。
定期的に言語化を更新する
経験は積まれ続けます。半年前に書いた言語化が、今の自分を正確に表しているとは限りません。定期的に見直して、新しい経験を追加し、古くなった表現を更新することが大切です。
特に、何か新しい仕事をした後や、感謝の言葉をもらった後は、記録しておくチャンスです。「この仕事で何が役に立ったか」を言葉にしてメモしておくと、後で使える素材になります。日常の小さな気づきを積み上げることが、言語化のストックを作ります。
言語化はキャリアにも事業にも効く
経験を言語化することは、転職活動にも使えます。面接で「どんな仕事をしてきたか」を聞かれた時に、過去の役割と成果を具体的に話せると、採用担当者の印象が変わります。また、副業や独立を考えた時に、「自分は何ができる人か」が明確になっていると、最初の一歩を踏み出しやすくなります。
言語化は、自分自身への理解を深めることでもあります。何が得意で、何を続けたいか、どんな仕事に価値を感じるか。書き出していくことで、自分の方向性が少しずつ見えてきます。次に何を学ぶかは、その後で考えれば間に合います。
経験の言語化と収入の関係
自分の経験を言語化できると、サービスの価格を説明しやすくなります。「この価格で何が得られるか」を具体的に伝えられると、値段交渉ではなく価値の共有になります。「なぜこの価格なのか」を経験から説明できる人は、値下げ要求を受けにくくなります。
逆に、経験が言語化されていないと、価格の根拠が伝わりません。「なんとなくこれくらい」という価格は、見た人から「高いか安いか分からない」という反応が来やすいです。経験の言語化は、価格設定と価値説明の両方に効きます。
一度書いた言語化を、違う場面で使い回すことも効率的です。SNSの自己紹介、名刺の一文、商談での最初の挨拶。同じ内容を少しだけ形を変えて使うことで、どの場面でも自分を一貫して伝えられます。
今日から試せること
1. 過去に感謝された場面を10個書き出す
2. それぞれについて「誰の何を楽にしたか」を一文で書く
3. 最もよく出てくるパターンをプロフィールの一文に変える
今持っているものが見えると、次に何を学ぶべきかも見えてきます。足すより先に、持っているものを使い切る視点を持つことが、キャリアと事業の両方で効きます。
参考リソース
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